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「家族の介護の準備、その後の生活…。会社を休む機会が増えるけど、会社を辞めるしかないのか…」
家族の介護が始まると会社を休むことが増えて、「退職」の文字が頭をよぎることがあるのではないでしょうか。
そんな時に使えるのが、労働者が仕事と介護を両立できるように定められた制度である「介護休暇」「介護休業」「介護休業給付金」です。
この記事では、この3つの制度について紹介します。
介護休暇、介護休業について日数、取得条件、申請方法といった基本的事項からおすすめの使い方まで。そして、介護休業給付金についても給付金額、取得条件、申請方法といった基本的事項についてわかりやすく解説します。
この記事を読めば、介護する人を支える制度「介護休暇」「介護休業」「介護休業給付金」について理解でき、会社を辞めない道を選ぶことができるはずです。
※当該記事に関する個別のお問い合わせは受け付けておりません。また、記事中の触れられている法的見解についての責任は一切負いかねます。所管の自治体窓口または弁護士等の専門家にご相談下さい。「そよ風」のサービスに関してのお問い合わせや不明点は、お問い合わせフォームより受け付けております。

「介護休暇」と「介護休業」は、どちらも要介護状態(※)の家族を介護するために休みを取得できる、労働者が仕事と介護の両立するための制度です。労働者の権利として法律(育児・介護休業法)で定められています。
※要介護状態とは「身体上・精神上の障害や病気などによって、2週間以上の期間にわたって常時介護が必要な状態」のこと。(詳しくは2-2介護休暇取得のための条件、もしくは3-2介護休業取得のための条件を参照)
この章では介護休暇と介護休業の異なる点について整理します。
介護休暇と介護休業の相違点は、簡単にいうと「取得できる日数」「賃金・給付金の有無」「申請方法」「制度を利用できる対象者」の4点です。

※介護休暇の対象者「雇用期間が6か月以上」については、2025年4月1日以降は要件廃止
参考:厚生労働省「介護休暇について」、「介護休業について」
それぞれの詳細は第2章以降で説明します。

「介護休暇」とは、要介護状態(※)の家族を介護するために短期休みを取得できる制度です。労働者が仕事と介護を両立するため、介護休業と同様に労働者の権利として法律(育児・介護休業法)で定められています。
会社は業務の繁忙等を理由に、従業員からの申し出を拒むことはできません。(育児介護休業法第16条の5第1項、第16条の6)
※要介護状態とは「身体上・精神上の障害や病気などによって、2週間以上の期間にわたって常時介護が必要な状態」のこと。(詳しくは2-2介護休暇を取るための条件を参照)
介護休暇は、対象家族の介護のために休暇を取ることのできる制度です。
対象家族1人の場合1年度に5日まで、2人以上の場合は10日まで取得可能です。1日、または半日(1日の所定労働時間の2分の1)単位で取得できます。
休暇の取得理由になる「介護」とは、食事介助や排泄介助などの直接的な介護だけでなく、介護保険の手続きやケアマネジャーとの面談などの間接的な介護も対象となります。
※1日の労働時間が4時間以下の場合は半日単位の取得はできません。
※2021年1月1日からは時間単位での取得も可能となりました。
介護休暇を取得するには条件があります。その条件についてみていきましょう。
●介護休暇を取ることのできる対象者
・要介護状態(※)の対象家族を介護する全従業員。正社員、パート、アルバイト、契約社員、など雇用形態は関係ありません。(日々雇用は除く)
※介護休暇の対象者「雇用期間が6か月以上」については、2025年4月1日以降は要件廃止
≪介護休暇における要介護状態とは≫
「身体上・精神上の障害や病気などによって、2週間以上の期間にわたって常時介護が必要な状態」とされています。
次の(A)か(B)に該当していることが必要です。
(A)介護保険制度の要介護状態区分が「要介護2」以上
(B)次の表の12項目の「状態」のうち、2が2つ以上または3が1つ以上該当し、その状態が継続すると認められること。

●介護休暇を取ることのできない場合
・労使協定を締結している場合「1週間の所定労働日数が2日以下の労働者」は対象外
●介護が必要な家族との続柄
介護休暇の対象となる家族は決められています。
〈対象者〉
・配偶者(事実婚の場合を含む)
・父母(養父母を含む)
・子(養子を含む)
・配偶者の父母
・祖父母
・孫
・兄弟姉妹

休暇中の賃金について、法的な定めはありません。
会社の規定に従うことになりますので、就業規則を確認しましょう。無給の場合も多いようです。
介護休暇は当日、口頭でも申請可能とされています。
しかし、会社によっては申請書が用意されていることが多いようです。また、診断書などの書類が必要な場合もあるようです。介護休暇は会社に対して行いますので、会社のルールに従って申請しましょう。
介護が始まったら、申請方法を事前に確認しておくと安心ですね。
参考:厚生労働省「介護休暇について」

「介護休業」とは、要介護状態(※)の家族を介護するために長期休みを取得できる制度です。労働者が仕事と介護を両立するため、介護休暇と同様に労働者の権利として法律(育児・介護休業法)で定められています。
※要介護状態とは「身体上・精神上の障害や病気などによって、2週間以上の期間にわたって常時介護が必要な状態」のこと。(詳しくは3-2介護休業を取るための条件を参照)
介護休業は、対象家族の介護のために休業することのできる制度です。
介護が必要な対象家族1人につき、通算93日まで休みを取得できます。この休みは3回まで分割して取得可能です。1年間で93日ではないので注意が必要です。
介護休業を取得するには条件があります。その条件についてみていきましょう。
●介護休業できる対象者
・要介護状態(※)の対象家族を介護する全従業員。正社員、パート、アルバイト、契約社員、など雇用形態は関係ありません。(日々雇用は除く)
・期間を定めて雇用されている方は、介護休業予定日から起算して93日を経過後、6か月以内に労働契約期間(更新される場合には、更新後の契約期間)が満了することが明らかでないこと。
≪介護休業における要介護状態とは≫
「身体上・精神上の障害や病気などによって、2週間以上の期間にわたって常時介護が必要な状態」とされています。
次の(A)か(B)に該当していることが必要です。
(A)介護保険制度の要介護状態区分が「要介護2」以上
(B)次の表の12項目の「状態」のうち、2が2つ以上または3が1つ以上該当し、その状態が継続すると認められること。

●介護休業を取得できない場合
労使協定を締結している場合は、以下は対象外となります。
・入社が1年未満の場合
・有期契約労働者で、介護休業予定日から起算して93日を経過後、6か月以内に労働契約が満了し、継続契約されないことが決まっている場合
・1週間の所定労働日数が2日以下の場合
●介護が必要な家族との続柄
介護休暇の対象となる家族と同じです。
〈対象者〉
・配偶者(事実婚の場合を含む)
・父母(養父母を含む)
・子(養子を含む)
・配偶者の父母
・祖父母
・孫
・兄弟姉妹

賃金について、法的な定めはありません。介護休暇と同様で無給の場合もあります。
しかし、雇用保険の「介護休業給付」の制度を利用すれば、給付金を受けられることができます。
介護休業給付金については、第5章で詳しく説明します。
介護休業は、開始予定日と終了予定日を決めて、開始日の2週間前までに会社へ書面で申請します。
申請書のフォーマットは会社によって異なります。会社のルールに従って申請しましょう。
参考:厚生労働省「介護休業について」

「介護休暇」「介護休業」は、直接的な介護だけでなく、手続きなどの間接的な介護も休み取得対象の「介護」となります。
ここでは、それぞれの特徴に合わせたおすすめの使い方をご提案します。自分にとって良い休みの取り方はどうか、検討する際に参考にしてください。
介護休暇は、当日申請が認められていて半日単位で休めるので、突発的に休まないといけなくなった場合や短時間の用事で使うのに適しています。
例えば…
・要介護者の急な体調不良
・ケアプランの見直しなどケアマネジャーとの面談
・介護保険に関する手続き
・通院の付き添い
・福祉用具レンタルのため理学療法士との打ち合わせ
ただし、介護休暇は原則無給ですので、先に有給休暇を使う方が生活への影響は少ないともいえます。
そこも考慮したうえで、どう使うか考えておきましょう。
介護休業では長期の休みが取れます。そこで、「介護と仕事の両立のための体制作りの期間」として使うのがおすすめです。
介護環境が整うまでの期間は、どの介護サービスを利用するのか、家族の誰がどう関わるのか、家を改修する必要があるかなど、決めることがたくさんあります。さらに、実際にうまく回るのかどうかを確認して調整する必要があります。ある程度期間を取って様子を見るほうがいいでしょう。

介護休業期間は原則無給ですが、条件を満たせば雇用保険から給付金を受け取ることができます。申請の手間はかかりますが、ぜひ利用したい制度です。
・介護休業を取得した、雇用保険の受給資格者
・介護休業の開始日の前の2年間に、雇用保険に12か月以上加入していること
※介護休業開始日の前日から1か月ごとに区切った期間で、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1か月と数えます。
要介護状態の同一対象家族について、93日を限度に3回までに限り、賃金月額の67%の介護休業給付金が支給されます。
≪介護休業給付金の計算式≫
休業開始時賃金日額×支給日数×67%
ただし、介護休業期間中に有給休暇や手当などの給与を受けている場合、その金額によっては支給額が減額・支給されないこともあります。
また、支給金額には上限があります。毎年8月1日の賃金日額の変更に伴い、上限金額も変更になります。
令和7年8月1日時点の上限金額は356,574円です。
介護休業給付金は非課税です。無給であれば、所得税や雇用保険料も控除されません。
※ただし介護休業期間中であっても、社会保険用は免除されません。
介護休業期給付金はハローワークに申請します。原則として、会社(事業主)が申請手続きを行うので、勤務している会社の担当部署に依頼しましょう。
ただし、希望すれば本人がハローワークで手続きを行うことも可能です。
申請には事業主が用意するもの以外に、介護休業申出書や住民票記載事項証明書等(介護対象家族の方の氏名、申請者本人との続柄、性別、生年月日等が確認できる書類)など、本人が用意する書類もあります。
事業主に依頼する際に必要書類を確認しましょう。
給付金の申請は介護休業が終了してから行います。
介護休業期間中には、給付金を受け取れないので注意しましょう。
申請期間は、介護休業終了日の翌日から2ヶ月後の月末までです。
例えば、4月10日に介護休業が終了したならば、4月11日~6月30日の間に手続きを行います。
「介護休業給付金」参考:厚生労働省ホームページ Q&A~介護休業給付~

介護休暇は法律で認められた権利ですが、職場の仲間の支えがあってこそ成立する制度です。
職場の上司や同僚への配慮は忘れないようにしましょう。
ちょっとした気配りで人間関係は潤滑に回るものです。
当然のことですが、フォローしてくれた同僚にはお礼を言ったり、前もって休むことが決まっている場合は早めに情報共有して業務の準備をしたりするようにしましょう。

さいごに介護休暇についてよくある質問をまとめました。
Q1. 介護休暇とはどのような制度ですか?
A. 「要介護状態」にある対象家族の介護や世話をするために、会社を休んで「短期休み」を取得できる制度です。労働者が「仕事と介護を両立」できるように法律(育児・介護休業法)で定められた権利であり、会社は正当な理由なく拒むことはできません。
Q2. 介護休暇と介護休業の違いは何ですか?
A. 大きな違いは取得できる日数と期間です。介護休暇は突発的な用事などで使える「短期休み(年5日~)」であるのに対し、介護休業は腰を据えて体制を整えるための「長期休み(通算93日)」です。また、介護休暇には給付金がありませんが、介護休業には「介護休業給付金」などのサポートがあります。
Q3. 介護休暇は1年に何日取得できますか?
A. 対象家族が1人の場合は1年度に「5日」まで、2人以上の場合は「10日」まで取得可能です。
Q4. 介護休暇を取得している間の給料(賃金)は出ますか?
A. 介護休暇中の「賃金」について法的な定めはなく、会社によって異なりますが「無給」の場合も多いようです。自社の就業規則を確認することをおすすめします。
Q5. パートやアルバイトでも介護休暇を取れますか?
A. はい、取れます。正社員、パート、アルバイト、契約社員など「雇用形態」に関係なく取得可能です。ただし、労使協定により対象外とされることがあるため確認が必要です(※法改正により要件が変わる場合があります)。
Q6. 介護休暇はどのような目的で使うのがおすすめですか?
A. 直接的な介護だけでなく、付き添いや手続きなどの「間接的な介護」にも使えます。例えば、親の通院の付き添い、ケアマネジャーとの面談、介護サービスの手続きなど、「突発的な用事」や「短時間の用事」での利用がおすすめです。
Q7. 1日単位でしか休めませんか?半日や時間単位でも取れますか?
A. 1日単位だけでなく、「半日(1日の所定労働時間の2分の1)」単位での取得も可能です。また、法改正により時間単位での取得も可能となっていますので、柔軟に活用できます。
Q8. 申請はいつまでにすれば良いですか?当日の申請でも大丈夫ですか?
A. 基本的に「当日」、口頭での申請も可能とされています。ただし、会社によっては書面での提出が必要な場合や独自のルールがあるため、事前に「申請方法」を確認しておくと安心です。
Q9. 「要介護状態」とは具体的にどのような状態を指しますか?
A. 「身体上・精神上の障害や病気などによって、2週間以上の期間にわたって常時介護が必要な状態」のことを指します。必ずしも要介護認定を受けている必要はありませんが、一定の判断基準(要介護2以上など)があります。
Q10. 対象となる家族の範囲はどこまでですか?
A. 配偶者(事実婚含む)、父母(養父母含む)、子(養子含む)に加え、配偶者の父母、祖父母、孫、兄弟姉妹までが対象家族となります。同居・別居の要件はありません。

いかがでしたか。
介護と仕事の両立を支える制度、「介護休暇」「介護休業」「介護休業給付」について理解できたでしょうか。
ぜひ、これらの制度を活用して、会社を辞めずに仕事と介護を両立させてください。
この記事が、介護と仕事の両方を頑張るあなたの助けになることを願っています。
※当該記事に関する個別のお問い合わせは受け付けておりません。また、記事中の触れられている法的見解についての責任は一切負いかねます。所管の自治体窓口または弁護士等の専門家にご相談下さい。「そよ風」のサービスに関してのお問い合わせや不明点は、お問い合わせフォームより受け付けております。
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渡邉 祐貴
(介護福祉士・介護支援専門員)
介護現場に10年従事し管理者、生活相談員、計画作成担当者など様々な役務をデイサービス、ショートステイ、グループホームで経験。介護福祉士、介護支援専門員等の資格を取得し、介護の専門性を磨く。
その後、現職となり介護業界での経験は約20年。
現場の感覚を忘れずに、課題や問題点を抽出し、その対策に日々取り組んでいる。
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